「元気なうちに親子で確認」個人事業主の事業承継

岐阜県 事業承継事例

支援企業の概要

【代表者】安藤金夫氏(82歳) 

【創業】昭和40年創業 

【従業員】専従者2名(長男夫妻)、パート1名

【事業内容】和菓子製造販売

【強み・特長】

 市内で和菓子店としての存在感があり、リピーターも多い。「低糖質の鮎菓子」や「くずバー」などを開発し、積極的な販売活動からメディアにもよく取り上げられている。

【後継者】長男・安藤誠氏(51歳) 

 現在、店主として製造から営業活動までを積極的に行っている。

 

 

 

事業承継の課題

①実質的経営者は長男であり、代表者も高齢なことから早期の事業承継が望まれる。

②店舗兼住宅で代表者と長男の共有名義のため、事業承継には相続まで十分考慮した税金対策が必要。

③事業用資産が確実に引き継げるよう、法定相続人への配慮が必要。

 

 

支援内容など

①【現状分析】

 現代表の個人資産状況と法定相続人の把握。また、事業承継前に代表者に万が一の事があった場合、店舗運営に支障がないかの確認を行った。(営業許可や当面の運転資金の有無など)

②【事業承継計画作成に向けた支援】

 税理士の専門家派遣を実施(3回)。個人版事業承継税制についても検討したが、デメリットが多いため利用しないこととなった。また、インボイス制度開始前に後継者開業時の消費税免税期間が十分取れることも、早期の事業承継への後押しとなる。

③【事業承継計画の作成と提案】

 来年の初めに代表者を交代するとして、事業承継計画を作成した。

ⅰ.事業用資産の引き継ぎ

 売掛・買掛等は現代表者が清算し、不動産は使用貸借とする。

ⅱ.法定相続人への対応

 事業に関与していない別生計の次男・三男の遺留分も考慮し、遺言等で事業用資産が確実に相続できるよう提案。

 

 

成果・事業者の声など

①【事業承継を早期に進められるきっかけとなった】

 同じような境遇の個人商店で、代表者が急に亡くなった時とても大変そうにしていたイメージがあった。人出不足の状態でそのような事態になると、商売への影響が大きいため、早期に事業承継を行う計画となり安心できた。

②【個人事業主の事業承継方法についての理解が深まった】

 個人事業主は相続(事業主の死亡)により事業承継が行われると思っていた。今回、税務面を含めて生前に事業承継を行うことのメリット・デメリットを十分理解することができた。

③【親子で確認できる場となった】

 今までも事業承継について何となく話はしていたが、第3者を交えて同じテーブルに着くことで、親子間では聞きづらい事なども確認することができた。ちょっとした認識の違いでも遺恨を残しかねないため、「分かっているつもり」ではなく、きちんと確認できたことが良かった。